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感染予防について
投稿日:2021.11.19
感染予防について
ご遺体からの体液漏出と感染について
ご遺体の安置されている環境(温度や時間)を考慮した場合、体液の漏出を予測する事は難しいのが
現状です。
医療施設で亡くなられたご遺体は搬送時等に必ずしも平行な状態で移動できるとは限りません。車の振動や傾斜、ご自宅の階段、エレベーターの無い環境等で物理的に体液が漏出する可能性を考える必要があります。
また、ご遺体から漏出する血液・体液・排泄物は死亡時に検査をされていないことが多く、病原体の種類・数・増減する時間を把握することができません。宿主の死亡後のウイルスや細菌の増減を測ることはほぼ不可能であり、どんな病原体がどれだけ存在するのかはわかりません。よって、ご遺体から出る漏出液への接触は感染のリスクが高いと言えます。
故人に関わる全ての方々が安心してお見送りする為には医療施設を起点とした適切な処置と対策が必要です。
エンゼルケアにおける感染予防
エンゼルケア(死後の処置)の目的は、故人の尊厳を守り、ご家族の悲嘆を少しでも軽減することです。その為には生体と同じように 標準予防策の考え方を基に死後処置を行い、
ご遺体からの感染を予防することが重要です。
一般的に人は死亡直後から様々な変化が現れます。
早期:(死後硬直後~約24時間)
死亡直後から始まる死後の変化として、顔から血の気が引き、体は冷たくなり、硬直、乾燥などが
起こり始め時間の経過とともに進んでいきます。
晩期:(末期、約48時間~72時間)
一定時間を経過して起こる変化として、腐敗による臭気、皮膚の変色、腐敗ガスによる腹部・顔面部等の膨張、鼻や口からの出血・体液の漏出などが起こりやすくなります。
また、死後に起こる現象は目に見える変化だけではなく、細菌や酵素による分解作用等目に見ることの出来ない変化も死亡直後から同時に起こっています。
加えてご遺体の体格、年齢、栄養状態、生前からの病気、死亡原因や環境温度・湿度など様々な要因により早期から晩期へ移行する変化の進行度に差が出ます。
ご遺体の状況によっては、死亡後数時間で急激に腐敗が進行する「劇症性の変化」が起こる可能性があり、更に死亡後に起こる出血や体液の漏出には生前の疾病も関係します(浮腫や腹水・胸水など様々)。
生前から感染性疾患を持った方に限らず、全てのご遺体の血液、体液、排泄物は漏出により感染を引き起こす可能性があります。血液・体液の漏出は治療痕や創傷からだけではなく、口腔や鼻腔、毛穴、褥瘡、水疱形成部の破裂などからも起こります。
また治療痕(急を要する治療、注射針痕、気管切開痕など)や外傷などからも起こります。
ご遺体からの感染が起こる可能性は予測不可能であり、ご遺体からの感染リスクを減らすためには、生前と同じような標準予防策に則った接触感染の予防対策が必要です。
接触感染は血液・体液・傷口・粘膜などに直接触れた場合、もしくは間接的に汚染されている物に触れた場合に起こります。
ご遺族、医療従事者、葬儀関係者等ご遺体に関わる全ての方々に対する感染を予め防ぐ為にも、医療機関に於ける感染予防として体液等の漏出を防ぐ死後の処置が重要と考えられます。